異文明都市 -いぶんめいとし- 「古代の人たちは、人民の生活を豊かにし幸せをもたらすために、 この星で採掘される鉱石を元にあの二つ目の月を作ったらしいの。 でもね、やっぱり人間は欲が深かった。 より豊かに、便利にするために鉱石を採りつづけ、今はもうあの月と中心都市にあるもの、 そして、あたしが持ってるこれだけになってしまった。 この星の中で使う分には問題なかったの。 わかる?もうひとつ、この星に準ずるものを作ろうとしたの。 人が住める星を作ろうとして、宇宙へ飛ばしてしまった。うまくいかなくて何度も挑戦した。 それが、星の質量の均衡を崩し、環境は乱れ、今では多くの国が海に沈み、陸は貧しい土ばかりになった。 気候の変動も激しいわ。一部の人たちはまだ対策を練っているようだけれど、どうかしら」 「あたしたちはね、もう待つだけなのよ」 「あなたがどこから来たのかは知らないけれど、きっとここよりはステキなところなんでしょうね」 「……ねぇ、帰る前にお願いがあるの。この石のカケラを一つ持って行って」 「あたしたちがいたことを覚えていて」 |