ポタリ。 黄色の着色材が、水の入ったグラスに落とされた。 極めて微量である。 薄く尾を引いて溶けていく。 色など、着くか着かぬほどだ。 水を入れた人物が親しかった場合、差し出された者はいかなる疑念も抱かずに飲むだろう。 わずかな量であるから、口にした場合果たしてどうなるか。飲んだ者の身体によるのか、と考える。 ――試してみようか。 もちろん実際試す事はない。思案するだけだ。それで、どこか満たされる。 呼び鈴がなったので、用事を足しに行く。 宅配だった。 荷を持って戻ると、グラスが横たわり水がテーブルから滴っていた。 荷物が、ゴトリ、と音を立てた。 |